HD-PLCアライアンス 高速電力線通信

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IEEE1901「HD-PLC3」(Complete、inside)について

1) IEEE 1901 「HD-PLC3」Complete技術の特長と今後の展開

特長

高速電力線通信「HD-PLC」(以下「HD-PLC」と呼ぶ)は、Wavelet OFDM(注1)(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を採用しPLC通信方式で他方式高速PLCに比べて、キャリア数を半減し回路規模を抑えながらも、ノイズの多い電力線上で高効率で安定したデータ伝送を実現する画期的な高速PLC通信技術(コンセントLAN)です。

「HD-PLC」は、電力線伝送において、同じ周波数帯域を使用する既存の無線システムへの干渉影響を軽減できるフレキシブルノッチ形成技術(注2)を採用し、各国毎に違うEMC規制への対応として, ソフトウェアによる周波数ノッチのマニュアル設定が出来るなど各国対応への設計自由度を高めます。

またAVデータストリーミング伝送では、PLC通信レートの安定化を図るQoS(注3)機能が搭載され、通信会社によるQoS仕様の違いをソフトウェアでカスタマイズすることも可能です。

更に近年、市場に提供している第3世代の広帯域高速「HD-PLC3」complete(注7)(以下「HD-PLC3」completeと呼ぶ)では、国際標準規格IEEE 1901フルスペック(ISP規格標準搭載)に対応し、加えて通信性能を更に向上させる技術として、屋内の電力線環境で家電機器の影響により激しく変動するインピーダンスや電源ノイズに対して更に素早く対応するために誤り訂正技術を高度化したノイズ耐性向上技術(LDPC-CC)(注4)を新たに採用し、従来のダイバシティ技術(注5)や伝送路変動耐性技術(注6)と効率的に組み合わせるなど、これまで以上に安定した高速PLC通信環境を実現しています。

また、白物家電、HEMS、EV、スマートグリッド、ホームオートメーション、センサーシステムなどのM2M向け等など、各サブキャリアへのデータの多値レベルを小さくすることで低消費電力化を図った広帯域中速PLC(「HD-PLC3」inside)(注8)を提供しています。

今後の展開

「HD-PLC」技術展開は、以下の様な「HD-PLC」ファミリー技術のラインアップ充実化が図られます。

  1. 電力線以外の同軸ケーブルへの応用など、使用する周波数帯域を拡張することで、一層の高速化を図った高速広帯域500Mbps版、1Gbps版(「HD‐PLC」Quatro)の提供。
  2. ビルや工場の棟間通信など、使用する周波数帯域を縮小することで、一層の長距離化を図った中速広帯域版(「HD-PLC」Quatoro)の提供。
  3. ビル、工場管理や屋外での応用など、長距離、広範囲で多端末の通信環境を構築可能にするデータ中継拡張機能(「HD-PLC」マルチホップ)の提供。

2) 国際標準IEEE 1901の認証規格 「HD-PLC3」Complete

「Wavelet OFDM」を採用した「HD-PLC」方式は、2011年1月高速PLCの国際標準IEEE 1901(注9)規格として承認されました。

これを受けHD-PLCアライアンス企業からIEEE 1901仕様に完全準拠し、通信信頼性を一層向上させた新世代高速PLCである「HD-PLC3」complete LSIが、全世界に現在供給されています。

この「HD-PLC3」complete LSIは、IEEE 1901仕様で必須化されている共存仕様(ISP)(注10)を世界で初めて標準搭載したLSI製品として開発され、LSIサプライヤーからは、利用者に向けて開発支援ツール等の提供が行われ、採用したモジュールメーカや完成品メーカが増えています。

更に、HD-PLCアライアンスが運営するIEEE 1901通信互換認証システムでは、他高速PLC方式との共存認証システムもすでに運用しており、「HD-PLC3」completeを利用した製品開発環境は、十分整っております。

  • ※ 「HD-PLC3」completeの詳細については、こちら をご参照ください。(メガチップス社ホームページ)
  • ※ 「HD-PLC3」Completeのホワイトペーパーは、こちら をご参照ください。(PDFでひらきます)

また、「HD-PLC3」completeは、IEEE 1901認証を契機に、現在海外においては、IEEE1905.1(注11)、NIST標準(注12)、中国国家標準(注13)、DLNA標準(注14)などにも採用承認されており、更に国内においては、TTCホームネットワーク通信I/Fガイドライン(TTC TR-1043(注15))にもIEEE 1901 PLCが規定され、また「HD-PLC 3」Complete 及び「HD-PLC 3」inside技術が、ECHONET Lite向けホームネットワーク通信インタフェースとしてTTCJJ-300.20及びJJ-300.21(注16)に規定されています。

このように、国際標準規格「HD-PLC3」completeは、AVストリーミング高速通信用途(IPTVサービス、NETTVサービス)や、家電組み込み機器(HEMS)、ビル省エネ(BEMS)、セキュリティ(IP同軸カメラ、ドアホン等)、組み立てロボット、鉄道、飛行機などさまざまなアプリケーションの場面で活用されることが期待されています。

また、昨今のIoT向けインフラへの適用にあたっては、更なる通信距離の拡大および通信速度の向上が求められており、第四世代「HD-PLC」Quatro Core チップの開発が進んでいます。ユースケースに応じて使用する周波数帯域を柔軟に変更する技術をIEEE 1901aとして国際標準化を進めています。2019年3月の規格承認を目指しており、「HD-PLC」活用の幅が更に広がることが期待できます。

表2.「HD-PLC」技術の主な仕様
Table2. HD-PLC Main Specifications
  従来の「HD-PLC」第1、2世代製品 IEEE 1901準拠「HD-PLC3」Complete IEEE 1901a準拠「HD-PLC」Quatro
OFDMのベースキャリア Wavelet Wavelet Wavelet
使用周波数帯 [MHz] 2~28 2~28 2-100
最大PHYレート [Mbps] 210 240 1,000
IEEE 1901 共存信号(ISP) 非準拠 完全準拠 完全準拠
「HD-PLC」ファミリー間 通信互換性 「HD-PLC3」Completeと通信互換 第1、2世代「HD-PLC」と通信互換 1倍モード動作時は「HD-PLC3」complete同等の互換を有する

※ 「HD-PLC3」Completeの標準規格対応の詳細は、標準化ページ をご参照ください。

3) 超低消費電力、広帯域中速PLC 「HD-PLC3」insideの新展開

少ない通信キャリア数で高速電力線通信を行う「HD-PLC」技術は、LSI回路の小型化や超低消費電力動作、低コスト化に貢献します。そこで、近年、各業界からその利便性が注目されており、現在「HD-PLC」を製品化するLSI供給のマルチベンダー化が急速に進んでいます。

現在市場に供給されている「HD-PLC3」completeに加えて、今後市場の拡大が期待されているスマートメーターやスマートグリッド関連製品、EV充電、ソーラーパネル、屋外給湯システム、屋外蓄電池、ホームオートメーション、宅内白物家電製品等のHEMS関連機器、M2M用途のセンサーシステム市場など比較的データ通信量の少ない制御用途として、これらの機器に組み込み易くした新技術の広帯域中速「HD-PLC3」inside(以下「HD-PLC3」insideと呼ぶ)が、注目を集めています。

この「HD-PLC3」insideは、小規模な回路構成が可能で、白物家電等で利用されているエコーネットライトや中国家電標準のIGRS家電通信制御仕様など上位レイヤーのプロトコール層の搭載も簡単に組み込みすることが出来ます。また、これらの標準通信仕様を搭載したLSIの製品化もHD-PLCアライアンス企業で現在進められています。

「HD-PLC3」Insideの特長

HD-PLC3」insideの最大の特長は、回路構成の小型化に加え超低消費電力動作(間欠モード)が挙げられます。

この機能は、親機となる「HD-PLC3」completeから送信されるビーコンに同期した「HD-PLC3」insideとの間で、通信トラフィックが発生しない場合、「HD-PLC3」insideは、「HD-PLC3」completeからのビーコンに応答後に即座に待機モードに入ることで消費電力を抑えることができます。また、通信トラフィックが発生した場合では、「HD-PLC3」insideは、即座に待機モードから通常モードに変わり「HD-PLC3」completeの間で通信動作を行います。 これらの間欠動作を行うことで、システム全体における超低消費電力化が図れます。

また、「HD-PLC3」insideの通信互換性としては、既存の第1、第2世代「HD-PLC」とは、「HD-PLC3」 Completeを介して相互通信が可能となり、また、「HD-PLC3」inside同士の通信は、「HD-PLC3」 Completeを介して相互通信が可能となります。

LSI回路の小型化と低コスト化、超低消費電力を可能にする「HD-PLC3」insideを用いることで、有線ならではの接続の安定性と安全性を確保した通信をより幅広い機器で実現することが可能になり、特に白物家電や産業機器へのネットワーク通信手段として搭載されることが期待されます。

図1.「HD-PLC3」ファミリーを推進する新ロゴマーク
Fig.1 「HD-PLC3」 New Promotion Logo Mark

  • 注1:Wavelet OFDM 詳細については、「HD-PLC」の基本技術について をご参照ください。
  • 注2:フレキシブルノッチ形成技術 詳細については、「HD-PLC」の基本技術について をご参照ください。
  • 注3:QoS(Quality of Service)
    QoSとは、ネットワーク通信において、運ばれるデータの内容に応じて、扱いに差をつけることにより、通信の品質を確保するために実装される技術のひとつ(優先制御)です。
  • 注4:ノイズ耐性向上技術(LDPC-CC) 詳細については、「HD-PLC」の基本技術について をご参照ください。
  • 注5:ダイバシティ技術 詳細については、「HD-PLC」の基本技術について をご参照ください。
  • 注6:伝送路変動耐性技術 詳細については、「HD-PLC」の基本技術についてをご参照ください。
  • 注7:IEEE 1901規格完全準拠の広帯域高速「HD-PLC3」complete  詳細については、こちら をご参照ください。
  • 注8:広帯域中速「HD-PLC3」 inside 詳細については、こちら をご参照ください。
  • 注9:国際標準規格IEEE 1901
    IEEE 1901規格は、これまで異なる高速PLC方式が、同一電力線上で共存できなかった課題を解決する手段としてそれぞれの高速PLC方式間で共存仕様(ISP)の共通規定を設けその仕様を必須搭載することで共存が可能とする高速PLC国際規格。 現在Wavelet OFDM方式(「HD-PLC」方式)とFFT OFDM(HomePlug 方式)の2方式が規格承認されている。
  • 注10:IEEE 1901 共存信号 (ISP)
    ISPとは、異種PLC間共存のための制御方式でWavelet OFDM PLCとFFT OFDM PLCなどの異種PLC間の共存のための仕様がIEEEで策定されこれらの技術を使ったIn-home PLC同士の共存やAccess PLCとの共存を行う場合などが規定されている。ISPでは時分割処理を基本とし、交流電源周波数(AC)に同期して制御される。
  • 注11:IEEE1905.1 詳細については、標準化ページ をご参照ください。
  • 注12:NIST標準 詳細については、標準化ページ をご参照ください。
  • 注13:中国国家標準 詳細については、標準化ページ をご参照ください。
  • 注14:DLNA標準 詳細については、標準化ページ をご参照ください。
  • 注15:TTC TR1043 詳細については、標準化ページ をご参照ください。
  • 注16:TTCJJ-300.20、JJ-300.21詳細については、標準化ページ をご参照ください。
  • *「HD-PLC3」 New Promotion Logoは、HD-PLCアライアンスに帰属します。